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特別編 01情報漏洩・セキュリティ

止まらない情報漏洩から自分を守るために、今できること

ITに詳しくない方でも実践できる対策と、もし情報が漏れてしまったときの対応をまとめました。

読む目安 約12分

今日やることは、この3つだけ

  1. メールの認証設定を確認する
  2. 使い回しているパスワードを一つ減らす
  3. 家族や友人にこの記事の話をする

くわしい理由と手順は、下の本文で。

はじめに|情報漏洩は、もう他人事ではない

最近、サイバー攻撃や個人情報の漏洩に関するニュースが相次いでいます。

2026年9月には、画像共有サービス「Gyazo」で約2,362万件のユーザー関連データ、カーシェアリングサービス「タイムズカー」で約660万アカウントの情報漏洩が公表されました。タイムズカーでは、そのうち約160万アカウントで運転免許証画像などの本人確認書類が漏洩したことも明らかになっています。

ただし、これらは同じ基準で数えられた「被害人数」ではありません。Gyazoの数字には匿名ユーザーのデータも含まれます。それでも、一度の不正アクセスでこれほど多くの情報が流出することには驚かされます。

もう、他人事ではない。

そう感じたことが、この記事を書くきっかけでした。

私はこれまでITに関わる中で、パスワードを使い回さないことや、2段階認証を設定することなど、基本的なセキュリティ対策を当たり前のように考えていました。

でも、ふと気づいたんです。

自分たちにとっての当たり前が、家族や友人にとっても当たり前とは限らない。

むしろ、知っている側が当たり前だと思いすぎて、積極的に伝える機会を作ってこなかったのかもしれません。

攻撃の手口は次々と変わります。一方で、身を守るための知識は、ITに詳しい人の間で止まっていて、家族や友人には届いていないかもしれません。

攻撃する側だけが知識を増やしていくのではなく、私たちも身を守るための知識をもっと共有していく必要がある。そう感じました。

もちろん、企業やサービスからの情報漏洩そのものを、個人の努力だけで防ぐことはできません。それでも、漏洩した情報を悪用されるリスクを減らすために、できることはあります。

この記事では、ITに詳しくない方でも実践できる対策と、もし情報が漏れてしまったときの対応をまとめました。まずは自分のために。そして、家族や友人にも伝えるために。

「盗られるものがない」と思っていても

「自分の口座には大金なんて入っていないし、狙われる理由がない」。そう思うかもしれません。

でも、盗まれて困るのはお金だけではありません。

たとえばSNSのアカウントを乗っ取られたら、あなたになりすまして家族や友人に「急いでお金を送って」と連絡されるかもしれません。メールに不正ログインされれば、ほかのサービスのパスワード再設定に悪用されるおそれもあります。

個人情報は、単体では大したことがないように見えても、別の情報と組み合わされると、あなたになりすますための材料になります。

猫の名前を思い浮かべてみてください。大切な家族の名前だから忘れにくい。でも、SNSで日常的にその名前を公開しているなら、パスワードや秘密の質問の答えには向いていません。身近で覚えやすい情報ほど、ほかの人にも知られていることがあります。

ここで伝えたいのは、SNSに猫の写真を載せてはいけない、という話ではありません。公開している情報を、本人しか知らない秘密として使わないことです。

そして、なりすましの被害は自分一人で終わるとは限りません。だからこそ、家族や友人と対策を共有する意味があります。

今日からできる対策――「守る」と「減らす」

全部を一度に変える必要はありません。最初は、メール、SNS、銀行、買い物など、よく使う大切なアカウントから見直しましょう。

① パスワードを使い回さない

一つのサービスからパスワードが漏れても、別のサービスに同じものを使っていなければ、被害が広がる危険を減らせます。特にメールのパスワードは、ほかのアカウントを取り戻す手続きにも関わるので優先してください。

長く、推測されにくいパスワードをサービスごとに変えるのが基本です。誕生日、ペットの名前、電話番号など、公開情報から推測しやすいものは避けます。

② パスワード管理ツールを使う

サービスごとに別の長いパスワードを、自分の記憶だけで管理するのは大変です。

スマートフォンやブラウザに備わっているパスワード管理機能などを使えば、異なるパスワードを保存・自動入力できます。管理機能そのものを守るため、端末の画面ロックと、パスワードを保存しているアカウント(GoogleアカウントやApple Accountなど)の保護も忘れずに。

③ 2段階認証・多要素認証を有効にする

パスワードのほかに、スマートフォンに届く確認コードや認証アプリでの確認などを追加する方法です。仮にパスワードを知られても、それだけではログインされにくくなります。

サービスによって設定名や提供される方式は異なります。「2段階認証」「多要素認証」などの項目を、設定画面の「セキュリティ」「ログインと認証」から探してみてください。設定したら、端末をなくした場合の復旧方法も確認しておきます。

④ 対応サービスではパスキーを使う

パスキーは、従来のパスワードの代わりに、スマートフォンやパソコンのロック解除を使って安全にログインする仕組みです。偽サイトにパスワードを入力して盗まれる危険を減らせます。

ただし、すべてのサービスが対応しているわけではありません。また、端末をなくしたときに備え、復旧方法を確認しておくことが大切です。

最初の一歩は、普段使っているメールアカウントの認証設定を見直すこと。 そこから一つずつで十分です。

もう一つの対策:登録時に渡す情報を「減らす」

守りを強くするだけでなく、そもそも渡す情報を必要最小限にすることも大切です。

新しいサービスに登録するときは、次の点をざっと確認してみてください。

  • パスワード:ほかのサービスと同じものにしていないか。
  • 認証方法:2段階認証やパスキーに対応しているか。
  • アクセス先:メールやSMSのリンクからではなく、公式アプリやブックマークから開けるか。
  • 連携権限:「連絡先をすべて読む」など、目的に対して過大な許可を求められていないか。
  • 復旧方法:端末の紛失や機種変更時に、アカウントを取り戻せるか。
  • 個人情報:住所、本人確認書類、勤務先など、本当に必要な情報だけを渡しているか。

とくに運転免許証やマイナンバーカードなどの画像は、正当な本人確認で必要になることがあります。ただ、求められたからといって、メールやSNSのメッセージで安易に送るのは避けましょう。提出が必要な場合は、相手が本物のサービスか、公式の安全な提出方法かを確認してください。

登録をすべて避けるのが正解ではありません。必要なのは、何のために求められている情報なのか、一度確かめる習慣を持つことです。

「情報が漏れたかもしれない」ときは、何をする?

  1. STEP 1公式確認
  2. STEP 2漏れた情報の確認
  3. STEP 3必要な対策
  4. STEP 4相談

ここでは、慌てず順番に確認するための手順を整理します。

最初にするのは、公式情報を確認すること。 「あなたの情報が漏れました」というメールやSMSが届いても、そこに書かれたリンクをすぐに開かないでください。サービス名を自分で検索し、公式サイトや公式アプリから発表を確かめます。漏洩事故に便乗した偽の連絡にも注意が必要です。

次に、何が漏れたのかを見ます。メールアドレスなのか、パスワードなのか、氏名・住所なのか、本人確認書類の画像なのか。それによって取るべき対策は変わります。「データが流出した」ことと「不正契約や金銭被害が発生した」ことも、分けて確認します。

パスワードの漏洩や不正ログインのおそれがある場合は、安全な端末と公式サイトからパスワードを変更し、同じパスワードを使っていたサービスも変更します。ログイン中の端末や利用履歴を確認し、見覚えのない端末があれば、できる範囲でログアウトさせ、多要素認証を設定してください。ログインできなければ、サービスの公式サポートに連絡します。

クレジットカードや銀行口座について心配な点があれば、利用明細や通知を確認し、不審な取引が見つかったときは金融機関に速やかに連絡します。カード情報の漏洩が明らかになった場合は、各社の案内に従い、停止や再発行が必要かどうかを確かめます。

本人確認書類の画像が漏れた場合は、事業者の案内を確認したうえで、次の「本人申告制度」も検討できます。

すでに不審な請求や連絡が来ている場合は、メールや画面の記録、やり取りの日時などを残しましょう。被害や不安の内容に合わせて、サービス会社、金融機関、警察などに相談します。

一度で全部片付けようとせず、「公式確認 → 漏れた情報の確認 → 必要な対策 → 相談」の順に進めれば大丈夫です。

本人確認書類が漏れたときの「本人申告制度」と相談先――「備える」

運転免許証などの本人確認書類を紛失したり、その画像が漏洩したりした場合、第三者が自分の名義で契約を申し込むのではないか、と不安になるかもしれません。

日本には、こうした場面で検討できる「本人申告制度」があります。

これは、信用情報機関に「本人確認書類を紛失した」「名義を悪用されるおそれがある」といった注意情報を登録し、加盟する金融機関などが審査時に参照できるようにする仕組みです。

代表的な窓口は次の3つです。

注意したいのは、登録しただけで新しい契約を自動的に止められる制度ではないことです。 審査での注意喚起に使われるもので、不正利用を完全に防ぐ保証はありません。対象となる取引や手続き、本人確認の方法、手数料も機関によって異なります。利用する場合は、それぞれの公式案内を確認してください。

また、信用情報機関への本人申告は、警察への相談、金融機関やサービス会社への連絡の代わりにはなりません。

どこに相談すればよいか迷ったら、内容に応じて次の窓口を利用できます。

  • 不正ログインやウイルスなど、技術的な不安:IPA 情報セキュリティ安心相談窓口
  • 詐欺などの被害・犯罪に関する相談:警察相談専用電話 #9110(緊急の事件・事故は110)
  • 契約や請求などの消費者トラブル:消費者ホットライン 188
  • カード・口座の不正利用:利用している金融機関やカード会社の公式窓口

相談することは大げさな対応ではありません。被害を広げないための、具体的な行動の一つです。

家族や友人と確認する――ChatGPTを使っても、使わなくても

この記事を読んで「大切なのは分かったけれど、何から始めればいいか分からない」と感じたら、一人で全部調べなくても大丈夫です。

ChatGPTなどのAIを使うなら、たとえばこう質問できます。

ChatGPTなどに、そのまま貼り付けて使えます

私はセキュリティの初心者です。スマートフォンで使っているメールとSNSを安全にしたいので、パスワードの使い回し、2段階認証、パスキー、アカウント復旧方法を、優先順位を付けて一つずつ確認できる手順にしてください。難しい言葉は説明してください。

「運転免許証の画像が漏れたと知らせが来ました。確認事項と日本の公的・公式相談窓口を教えてください」と聞いてみる方法もあります。

ただし、パスワード、認証コード、本人確認書類の画像、口座番号などは、AIに入力しないでください。 AIの回答には間違いや古い情報が含まれることがあります。実際の設定や届出は、必ずサービスや機関の公式ページを確認して進めましょう。

AIを使わない場合も、やることは同じです。家族や友人と一緒に、スマートフォンの設定画面から「ログイン」「セキュリティ」「2段階認証」を探してみる。分からないところは公式ヘルプを開く。それだけでも前進です。

ここで忘れたくないのは、できていなかった人を責めないことです。

「こんなことも知らなかったの?」ではなく、「これ、一緒に確認してみない?」と声をかける。知識を共有するときは、その一言から始めたいと思います。

おわりに|セキュリティも、毎日の手洗いのように

手洗いをするのは、毎回何かの病気を恐れているからではありません。普段からできることを、習慣にしているからです。

セキュリティ対策も少し似ています。どんなに気を付けても、企業側で起きる情報漏洩まで個人が止めることはできません。でも、被害が広がりにくい状態をつくることはできます。

今日やることを三つだけ選ぶなら、メールの認証設定を確認する、使い回しているパスワードを一つ減らす、家族や友人にこの記事の話をする。 その三つで十分です。

自分が知っていることが、誰かにとっては初めて知る大切な情報かもしれません。

知っている人から、まだ知らない人へ。大切な人を守る知識を、少しずつ共有していけたらと思います。

PRINT & SHARE

印刷して配れる、A4の配布資料

パソコンやAIを使わない家族にも渡せるように、白黒のA4・3ページにまとめました。コンビニのコピー機でも印刷できます。

  • 配布資料1ページ目「家族で読む・やさしい版」の縮小画像

    1ページ目家族で読む・やさしい版

    子どもや、ITが苦手な家族と一緒に

  • 配布資料2ページ目「掲示用ポスター」の縮小画像

    2ページ目掲示用ポスター

    家族・地域・職場の掲示板に

  • 配布資料3ページ目「配布チェックシート」の縮小画像

    3ページ目配布チェックシート

    会社・地域・家族で配って確認

1ページだけ印刷したいときは、印刷画面で「ページ指定」に番号(1〜3)を入れてください。

WATCH

動画でも、同じ話を

LINE乗っ取りの流れや、家族の合言葉と折り返し確認を、図解で説明しています(約10分)。

YouTubeで見る:個人情報が漏れていたら?今すぐできること【1/3】
動画内の事例の訂正・補足

動画の第2章で「投票依頼がLINEで届いた」と説明していますが、誤りでした。参照したIPAの相談事例では、依頼はInstagramのDMやFacebook経由で届いていました。その後、偽のLINE認証画面で情報を入力したことにより、LINEアカウントが乗っ取られた事例です。被害が起きる仕組みと、取るべき対策は変わりません。

出典:IPA「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]」

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第2話:盗まれた個人情報は、どこへ行くのか?

漏れた情報が売り買いされ、組み合わされる仕組みと、AIによる犯罪の変化。そして、怪しい連絡を受けたときの確かめ方をまとめました。

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参考資料・公式窓口

※ニュースの数字は2026年10月12日確認時点の公式発表に基づきます。件数を被害人数と読み替えないでください。実際の手続きでは最新の公式案内を確認してください。

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